Report:
医師はどのような
学習形態を求めているか

236名の医師から回答を得た医師継続教育に関するアンケート調査

このReportは、同タイトルで配信したプレスリリースの詳細をお伝えするものです。

はじめに

医師の長時間労働や労務管理の不十分さ、業務の集中などの改善を目指して、厚生労働省は2024年4月から新制度を施行します(医師の働き方改革)。医師に対する教育支援事業を行うAMEEは、その学習が自己研鑽に該当するか否かにかかわらず新制度の理念に則り、より効果的かつ効率的な教育プログラムを提供することで医師個人の負担軽減、ひいては医療の質の向上を通じて国民の健康増進に寄与したいと考えています。そのためには、医師の学習に関する現在の実態を把握する必要があると考え、今回のアンケート調査を実施しました。

対象・方法

  • 2023年6月16日~20日まで、循環器内科、腎臓内科、糖尿病・代謝・内分泌内科、腫瘍内科の40歳以上の医師を対象にWebアンケートを行いました。
  • 診療科は、AMEEの教育プログラムの実施歴を考慮して決定しました。
  • 学術団体が専門医資格単位を付与する目的で行うセミナーなどは、医師継続教育の範囲から除外しました。
  • 主催は単独で責任主体として実施しているケース、共催は複数で責任主体として実施しているケース、協賛は第三者が責任主体として実施することに協力費などで支援するケースとしました。
  • 各設問では、該当する尺度を選び、実施前に設定した加重ポイントによる重みづけを加えて数値化しました。
  • 株式会社インテージヘルスケアのWebアンケートサービス「TenQuick」を利用しました。

結果

回答者について

合計で236名の医師から回答を得ることができました。診療科別の内訳は図のとおりです。

Q1:「医師継続教育」に関する以下のプログラムについて、それぞれ、先生のご利用状況をお知らせください。利用されている場合、その頻度として最も近いものをお知らせください。

月に
2回以上
月に
1回程度
2ヵ月に
1回程度
3~4ヵ月に
1回程度
6ヵ月に
1回程度
年に
1回程度
利用していない
(左記よりも少ない)
ポイント計
加重ポイント 24 12 6 3 2 1 0
勤務先の施設で提供される確認テスト(Web での実施を含む) 240 288 72 54 44 39 0 737
医師会(都道府県/ 群市区/全国)が提供する生涯教育講座(Web での実施を含む) 288 204 30 27 54 36 0 639
製薬企業が主催/共催で提供するセミナー(Web での実施を含む) 1776 552 132 45 40 12 0 2557
独立・非営利型教育団体が主催/共催で提供するインターネット教育プログラム 192 204 66 33 38 28 0 561
ポイント計の平均 1124

※236名に回答いただきました。
※プログラムごとに、選択肢から1つ選んでいただきました。

Q2:先生が利用しているとお答えいただいた、以下の「医師継続教育プログラム」は、それぞれどの程度、実臨床に役立つと感じていらっしゃいますか。

かなり
役に立つ
ある程度
役に立つ
あまり
役に立たない
ほとんど
役に立たない
どちらとも言えない/
わからない
ポイント計
加重ポイント 2 1 -1 -2 0
勤務先の施設で提供される確認テスト(Web での実施を含む) 12.8 64.8 -19.2 -14.4 0 44.0
医師会(都道府県/ 群市区/全国)が提供する生涯教育講座(Web での実施を含む) 26.4 66.0 -15.1 -11.3 0 66.0
製薬企業が主催/共催で提供するセミナー(Web での実施を含む) 41.3 71.4 -5.3 -4.2 0 103.2
独立・非営利型教育団体が主催/共催で提供するインターネット教育プログラム 31.9 64.9 -14.9 -6.4 0 75.5
ポイント計の平均 72.2

※Q1で「利用していない(左記よりも少ない)」と回答した方以外の方に回答いただきました(上から125名、106名、189名、94名)。
※プログラムごとに、選択肢から1つ選んでいただきました。
※ポイントは、実施前に設定した「比率(%)×加重ポイント」で算出しました。

Q3:「医師継続教育プログラム」に対する不満についてお伺いします。以下の内容について、それぞれ、先生のお気持ちに最も近いものをお選びください。

かなり
当てはまる
ある程度
当てはまる
あまり
当てはまらない
ほとんど
当てはまらない
どちらとも言えない/
わからない
ポイント計
加重ポイント 3 2 1 0 0
受講機会回数が少ない 57 130 72 0 0 259
日時制限を伴うライブ配信が多く、受講しにくい(時間制限のないオンデマンド方式が少ない 144 176 52 0 0 372
演者・講師が適任ではない 27 76 90 0 0 193
受講したいテーマのプログラムがない 42 168 69 0 0 279
自身の臨床に役立つ(最低限知っておくべき、など)内容ではない 45 148 85 0 0 278
特定の企業の特定の薬剤の効果と安全性のみを説明し、必ずしも「公正・公平性」に配慮された内容ではない 78 156 69 0 0 303
確認テスト」を設けるなど、受講しっぱなしにならないような工夫がない 51 114 86 0 0 251
告知が不十分で、受講したいプログラムを見逃すことがある 90 196 61 0 0 347
ポイント計の平均 285

※236名に回答いただきました。
※不満の項目ごとに、選択肢から1つ選んでいただきました。

Q4:「医師継続教育プログラム」に関して、プログラムの内容とは別に、以下の条件はどの程度必要であると感じますか。それぞれ、先生のお気持ちに最も近いものをお選びください。

必要 ある程度
必要
あまり
必要ではない
必要ではない どちらとも言えない/
わからない
ポイント計
加重ポイント 2 1 -1 -2 0
制度化されており、修了認証やその証明としての単位などが得られること 60 112 -41 -86 0 45
ポイントなどのインセンティブが得られること 94 106 -47 -42 0 111
いつでもどこでも何度でも受講できる形式(オンデマンド)での提供 182 112 -24 -12 0 258
現状よりもっと適正な受講時間(長すぎず・短すぎず)であること 122 131 -28 -12 0 213
質疑応答の機会が十分あること、他者との接触機会が設けられていること 32 108 -76 -50 0 14
確認テストがあるなど、もっと自身の学習効果が判定・確認(他者比較も含めて)できること 32 111 -63 -62 0 18
他の医師や他の施設の考えや取り組みをもっと知ることができること 46 129 -54 -32 0 89
患者や家族の考えや悩みをもっと知ることができること 52 118 -58 -36 0 76
ポイント計の平均 103

※236名に回答いただきました。
※条件の項目ごとに、選択肢から1つ選んでいただきました。

Q5:以下の「医師継続教育プログラム」について、先生の今後の利用状況(頻度や時間)はどのように変化するとお考えですか。それぞれ当てはまるものをお選びください。

もっと多く
利用したい
幾分多く
利用したい
現状でよい 幾分少なく
利用したい
利用しなくても
構わない
今後は
利用してみたい
今後も
利用しない
わからない ポイント計
加重ポイント 2 1 0 -1 -2 1 -1 0
勤務先の施設で提供される確認テスト(Web での実施を含む) 20 30 0 -3 -24 26 -41 0 8
医師会(都道府県/ 群市区/全国)が提供する生涯教育講座(Web での実施を含む) 22 31 0 -3 -8 28 -53 0 17
製薬企業が主催/共催で提供するセミナー(Web での実施を含む) 46 54 0 -4 -4 9 -21 0 80
独立・非営利型教育団体が主催/共催で提供するインターネット教育プログラム 26 28 0 -1 -10 30 -44 0 29
ポイント計の平均 34

※236名に回答いただきました。
※プログラムごとに、選択肢から1つ選んでいただきました。

Q6:以下の「製薬企業の情報提供活動」について、先生の評価をお知らせください。

有益なものが多い 多少は
有益なものがある
あまり
有益なものはない
ほとんど
有益なものはない
どちらとも言えない/
わからない
ポイント計
加重ポイント 2 1 -1 -2 0
MR等が訪問して行う、医薬品の情報提供 58 136 -37 -50 0 107
製薬企業(単独、自社による)がインターネットで行う、医薬品の情報提供(オンライン面談など) 54 135 -44 -46 0 99
製薬企業が主催する、会場実施型の講演会/ セミナー 98 146 -28 -14 0 202
製薬企業が学会・医師会と共催する、会場実施型の講演会/ セミナー 104 147 -26 -12 0 213
製薬企業が学会・医師会と共催してインターネット(医師向けポータルサイト以外)で行う講演会/ セミナー 86 153 -27 -16 0 196
製薬企業が医師向けポータルサイトで行う製品説明 74 148 -31 -28 0 163
製薬企業が医師向けポータルサイトで行う教育プログラム(製品に特化しない) 86 141 -35 -22 0 170
独立・非営利型教育団体に企業が協賛して行う、教育団体主催/ 学会共催のインターネット教育プログラム(教育的性格のもの) 58 128 -39 -16 0 131
ポイント計の平均 160

※236名に回答いただきました。
※情報提供活動ごとに、選択肢から1つ選んでいただきました。

まとめ

今回のアンケート調査では、月2回以上など、「製薬企業が主催/共催で提供するセミナー(Webでの実施を含む)」の利用が最も多かったことや、教育プログラムの配信については、「いつでもどこでも何度でも受講できる形式(オンデマンド)での提供」を求める声が多かったことなどが明らかとなりました。リアルタイム配信プログラムが多いと思われる現状に対して不便さを感じている医師の実態がうかがい知れたといえるでしょう。

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